映画『屍人荘の殺人』 原作小説の書評・ブックレビュー
こんにちは!あいのんです。
今回は2019年に映画化が決定した『屍人荘の殺人』の書評を書こうと思います。
本作の紹介
著者:今村 昌弘
宝島社の「このミステリーがすごい!2018」、文藝春秋の「週刊文春ミステリーベスト10」、そして原書房の「本格ミステリベスト・10」を受賞。
発売以来、21万部の売り上げを突破したヒット作です。
あらすじ
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲は、いわくつきの映画研究会の夏合宿に参加します。
そこで肝試しをしている最中、思いもよらない事態に陥りメンバー達はペンション紫湛荘に閉じ込められてしまいます。
夜明けと共に発見されたのは、一人のメンバーの惨殺死体でした。
それを皮切りに起こる連続殺人事件。
どんどん浸食される生活空間。
追い詰められた葉村たちは生き残ることが出来るのか。
殺人犯を突き止めることは出来るのか。
予想のつかない展開に楽しめた(※ここからネタバレを含みます)
発売から賞を沢山とって話題になっていたので気になっていたのと、
クローズドサークルミステリーという限られた空間で少しずつ追い詰められる緊張感と犯人捜しの謎解きミステリーの組み合わせが好きで、今作も期待のもと購入しました。
余談ですが、クローズドサークルミステリーを好きになったきっかけは名作サウンドノベルゲーム『かまいたちの夜』からです。笑
『ペンション』や『合宿』という設定上、初めはよくあるミステリーものかなと読み進めていると、まさに思いもよらない事態になりページをめくる手が早まりました。
スマホが普及した情報社会の現代で、孤島など物理的な状況でなければ、どのようにしてクローズドサークル状態が出来上がるのかと期待していましたが
まさか、ゾンビが出てくるとは思いませんでした。
ペンションに逃げ込みゾンビが少しずつ迫りくる中で起こる殺人事件。緊張感があり、どんどん続きが気になる展開でした。
また、私はミステリーものが好きな割に登場人物の名前や設定が覚えられず何度もページを戻って確認することが多いのですが、こちらの登場人物は特徴と名前に通じるものがあるので覚えやすく、物語の中盤で改めて紹介してくれるような場面もあったので助かりました。
先の読めない展開、思いがけない人の死、サバイバル的な緊張感、色々な要素があるので飽きることなく、スラスラ読めました。
普段ミステリーをあまり読まない方も楽しめると思います。
凄惨な事件のお話ではありますが、読後感もスッキリとした感じなので後に暗い気持ちにならなくて良かったです。
残念だったところ
少し残念だったのが、ゾンビ化の謎解きをあまりしなかった所です。
キーアイテムを手にした割にほとんど活躍する場面がありませんでした。
また、キャラクターの口調の区別が付きづらく男性女性、どっちが喋っているのか分からなくなる時がありました。
女性メンバーの言動に関して、あまり共感できない部分もあったので「あーわかる」とか「そうだよね」って思えたらもっと良かったと思います。
個人的に、お気に入りというか気になっていたキャラがソッコー退場したのも残念でした(´ `)
最後に
読み始めて2~3日ほどで一気読みしたぐらい、楽しませてもらいました!
主に通勤電車で読んでいたので、乗り過ごしそうになり危なかったですw
映画では各メンバーの過去やゾンビ化の謎など、あまり語られなかった部分を掘り下げてくれることを期待しています。
屍人荘シリーズ第二弾として『 魔眼の匣の殺人 』が2/20に発売されています。
今作で明かされなかった謎も解き明かされていくのでしょうか。
次作にも大いに期待ですね^^