『拝み屋怪談 壊れた母様の家〈陰〉』書評・ブックレビュー※ネタバレあり
こんにちは!あいのんです。
2014年に発売された郷内心瞳先生の代表作とも言える、超名作ホラー小説「拝み屋郷内 花嫁の家」から、およそ5年の歳月を経て、なんと続編が発刊されました。
知ったその日には思わず小躍りし、速攻で予約!
今回は、その続編『拝み屋怪談 壊れた母様の家〈陰〉』の読書感想文を書こうと思います。
前作「拝み屋郷内 花嫁の家」とは?
拝み屋を営む著者が、これまで一度も最後まで語ることも記録に残すことも許されなかった、忌まわしき怪異譚をここに開陳。“花嫁が必ず死ぬ”といわれる旧家では、これまで代々の花嫁が数年の内に亡くなっていた。花嫁が死に至るまでの年月に子を成し、からくも次の代へと血を繋げている。この家に嫁いだ女性から相談を受けた著者は、いくども不可解な現象に悩まされる――。戦慄の体験談「花嫁の家」と、「母様の家」の連作2篇を収録した怪談実話集。
内容紹介より
コミック化もされており、大変人気の作品となっています。
お話の順番としては
- 拝み屋郷内 花嫁の家
- 拝み屋怪談 壊れた母様の家〈陰〉
- 拝み屋怪談 壊れた母様の家〈陽〉
という流れですね。
こちらの記事もよろしくどうぞ。
拝み屋怪談 壊れた母様の家〈陰〉の二つのお話※以下ネタバレ含みます
まず、今作は前作の続きで、内容もかなり密接に繋がっているお話なので「拝み屋郷内 花嫁の家」を読んでいないと、内容が分かりづらい部分があるかと思います。
そして今作は、大きく分けて2つのお話が進んでいきます。
1つ目は
郷内先生が主観のお話で、前作「拝み屋郷内 花嫁の家」の依頼者であり亡くなってしまった高鳥千草がメインパーソンになります。
郷内先生の元に高鳥千草の元夫、謙二から電話があり、千草の娘である高鳥美月の体に亡き母、千草が降りてきて「成仏できていない」ということを訴えている。と言います。
千草は郷内先生ではなく、別の拝み屋の深町という男に依頼をするよう言っており美月は深町を訪ねたが、未成年者の依頼は受け付けないと言われたことで、長い間連絡していなかった謙二に相談をした。
謙二は拝み屋に対する知識もなく不安なので、深町に話を聞きに行く際の同行を郷内先生に依頼します。
深町に会うと、同業者だということをすぐに見抜かれてしまい会って早々敵対心を見せられます。
それでも、以前の依頼者との関係があることを話し、打開策が見つかるまで情報共有し合おうということで和解します。
そこから千草の成仏に向けての調査を進めていくことになります。
2つ目は
十朱佐知子という少女が主観のお話です。
母親と二人暮らしで東京から宮城の田舎町に引っ越しますが、ひどいイジメに遭います。
おまけに家庭は貧乏で生活が辛くなり、ふと自殺をしようと山に入ると奇妙な生物と出会います。
「なおぉぉん」と鳴く謎の生物。
真っ白でフワフワの毛が生えており、猫に似ているけど耳が無く、頭はカワウソのように丸い。
おまけに足が無いこの謎の生物は、佐知子に出会って早々すり寄ってきます。
佐知子が謎生物を抱っこしてみると、お腹の部分には硬い板状の物質が縦一列に並んでいて、さらに割れた舌を伸ばしてくる。
蛇かなぁと思うものの全然怖くなく、すっかり癒された佐知子は自殺のことも忘れ、謎の生物を連れて帰ります。
母親は最初、不気味がっていましたが飼うことを許してくれ「シロちゃん」と名付け二人で世話することにしました。
そんなシロちゃんは不思議な力を持っています。お願いごとを叶えてくれるのです。
それが分かった佐知子は小さなお願いごとをしますが、叶いすぎることが怖くなり、お願い事をしなくなります。
一方で、母親はシロちゃんに大きなお願い事をしてしまいます。
お願い事の大きさに比例するように、日に日に弱っていくシロちゃん。
佐知子の祈り空しく、シロちゃんは壮絶な様子で苦しみながら死んでしまいます。
シロちゃんの遺骸を山に返さず、亡くなってからも箱に入れて自宅の祭壇で拝む母親。
これが大きな災いの始まりの引き金になってしまいます。
感想
読み終えた後の感想は「うわ~~~やっぱり、めっちゃ怖い!」です
シロちゃんが死ぬ間際の描写はものすごく迫力がありました。可愛らしかった姿が一変することで、より一層不気味さと怖さに拍車がかかっており、かなーり頭に残ります。
これから、どんどん悪い方向に向かっていくんだろうなぁ…という悪い予感を感じさせる不吉さ。
最初の方のページで、ここまでゾッとさせられるとは思いませんでした。
終わりの方では再び佐知子が登場し、成長してもやっぱり報われない生き方をしています。
謎の怪しい姉妹も現れ、これは間違いなく悪い方向へ行くぞ、と怖いながらも佐知子とシロちゃんの行方がすごく気になります。
また、郷内先生主観の話では、推理小説のような謎解きを感じさせる部分もあり、ワクワクしながらどんどん読み進めていきました。
謎が謎を呼ぶ、とはまさにこの事だと思います。
そして、終盤では同氏の作品「拝み屋怪談 鬼神の岩戸」で登場した小橋美琴が登場します。
「あの時の、ミコっちゃんか!!!」というファンには嬉しい展開です。
そして、彼女もまた物語の大役を背負っていそうな予感がするので、彼女の活躍もすごく楽しみです。
ゾッとしたり、ワクワクしたり…最初から最後まで、これでもかと惹きつけらていき、
「続きが気になって仕方がない!早く読みたい!」に尽きます。
さいごに
今作は「花嫁の家」から11年経ったお話で、続きといえども序章とも言える内容でした。
もう終わったと思っていた災禍が新しく生まれ、方々に繋がっていく強い因縁を感じるお話でした。
次作、最終章の「拝み屋怪談 壊れた母様の家〈陽〉」も既に発売されています。
次作のブックレビューはこちらから
それでは、ごきげんよう~