『拝み屋備忘録 怪談首なし御殿』書評・ブックレビュー※ネタバレあり
こんにちは!あいのんです。
今回は、郷内心瞳先生の拝み屋備忘録シリーズの第2弾である『拝み屋備忘録 怪談首なし御殿』の読書感想文を書こうと思います。
怪談首なし御殿とは?
首のない異形の人びとが巣食う最凶心霊物件 (「首なし御殿」収録) 拝み屋が綴る大人気シリーズ第2弾! 拝み屋を生業にする郷内心瞳が書き下ろした、大人気シリーズ拝み屋備忘録の第2弾! 日夜現れる異形の医者に身体をボロボロにされていく恐怖と絶望を綴った三部作「診察」「往診」「再来」、迷い込んだ神社で遭遇した、記憶に留めたくないほど恐ろしいおんな「忘れ去りたい」、依頼を受けて著者が訪れた怪しい気配が蠢く戦慄の館。そこに隠された因果とは…「首なし御殿」など、著者自らの体験を含めた数多の怪奇譚を収録!(内容紹介より)
ラインナップ
誰が「終わり」と言いました?/ブレス/落書き/死してなお/旭/呼び声/温泉美人/にょんにょんにょん/ベビーカー/パンでよろしくて?/それが目的/普通に裏切ってくる/踊り猫/オンリーワン/無限リセット/二連チャン/堕天使の力/痙撃/暗い店員/常連/やるんやったら、朝やろね/波乱万丈/すっからがんこ/診察/往診/再来/抜け首/忘れ去りたい/パジャマパーティー/悪夢/首なし御殿 壱~伍
印象に残ったお話※以下ネタバレあり
踊り猫
夫が京都旅行のお土産に、と買ってきた猫のぬいぐるみのお話です。
この猫ちゃんが来てからというもの、眠っていると猫の声が聞こえ目が覚めたり、金縛りに起きたりと怪異に悩まされてしまいます。
夫にそれを訴えると、あっさり処分することに。
しかし、その夜に目が覚めると、腹の上で踊る猫の姿が。
「がっぱずーん、がっぱっぱ、がっがずーん」という不思議な言葉の調子で踊っていた所が面白かったです。
不気味だけど、想像したらなんだかちょっと可愛いなと思ってしまいました。
ぬいぐるみにも曰く付きのものってあるんですね。人形の話ではなく、ぬいぐるみという所が珍しい作品です。
診察~再来
体調不良で病院に行くことに。木曜日にまた来るように言われますが、そこは何故か使われていないはずの診察室でした。
木曜日になり、悪夢を見る主人公。はっと目ざめると、傍らには診察を受けた医師と若い看護師が。
鉗子とメスを持った医師から「喉の奥に腫瘍がある」と告げられます。そして来週の月曜日に手術をすると言い渡される主人公。
月曜日が近づくにつれ、体調が悪化してしまいます。主人公の運命は…?
ネット上で有名な怖い話「猿夢」を彷彿とさせるパニックホラー味の強いお話でした。ハラハラドキドキの臨場感が良かったです。短編映画化できそう。
パジャマパーティー
夕闇迫る墓地。風情を求め墓石の間の細い道を進むと、奥の方から楽しそうな複数の女性の声が聞こえてきます。
何をしているのだろうと奥へ行ってみると、お地蔵様の前でパジャマ姿の14~5歳の少女が4人座っていました。
楽しそうに満面の笑みを浮かべながら、次々と叩き潰しているものとは…?
薄暗いお墓の中というシチュエーションで若い女の子たちがパジャマパーティーをしているだけでもなかなかシュールですが、彼女たちが叩き潰しているものの描写や、こちらに気が付いたときの反応にゾッとしました。
「少女たち」の明るく楽しい雰囲気と「怖い・不気味」のギャップに心惹かれる作品でした。
首なし御殿
この本のメインタイトルになっているお話です。郷内先生目線のお話で、依頼された怪異を解決するお話なのですが、メインディッシュなので詳しい内容は割愛させていただきます。
読んだ感想は「怪異はもちろん怖いけど人間も怖い!!」に尽きる。怪異の不気味さと、人間の汚さ・愚かさが印象的なお話でした。
そんなに長くないお話ですが、手に汗握る展開もあり読みごたえがありました。
さいごに
短編中心なので、サクサクと読みやすい一冊でした。不思議なお話や、ちょっとクスッと笑えるような怖い話もあり、怖いだけでは物足りない人にも満足出来る内容だと思います。
本業として拝み屋をしている郷内先生だからこそ、リアリティーをビシビシと感じられる作品ばかりなので、ホラー系統が好きな人にオススメしたいです。
文庫本というサイズ感も持ち運びやすいので、通勤や通学など長い時間が取れないときにも読みやすいと思います。
また、郷内先生の本はどれも面白いですが「花嫁の家」「母様の家」シリーズは特にオススメです。
こちらの過去記事もぜひ♪