あいのんのオタク女子日和

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澤村伊智短編集『ひとんち』書評・ブックレビュー※ネタバレあり

こんにちは!あいのんです。

 

映画『来る』の原作小説『ぼぎわんが来る』や『ずうのめ人形』で有名なホラー作家の澤村伊智さん。

 

今回は短編集『ひとんち』の読書感想文を書こうと思います。

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『ひとんち』について

世界は本当の姿を隠したままで、決して正体を明かさない。闇はどこまでも絢爛で、現実は色褪せて退屈だ──。恐怖と異形、人間心理の暗部にこだわりぬいて紡いだ全八編。日常が少しずれてできた隙間から、圧倒的な混沌が迎えに来ます。(内容紹介より)

 

構成は下記の通りになっています。

  • ひとんち
  • 夢の行き先
  • 闇の花園
  • ありふれた映像
  • 宮本君の手
  • シュマシラ
  • 死神
  • じぶんち

あいのん的感想※ネタバレあり

短編なので読みやすかったです!

 

シュマシラなんか特に、澤村さんらしい作品だなぁと思いました。

 

謎解きがあり、昔の文献などを調べていくうちにどんどん不気味な方向へ行くところが澤村さんの作品らしい趣を感じましたね。

 

身近なお話からファンタジーなものまでバリエーションに富んでいたのも良かったです。

 

ビックリ系の派手な怖さではなく、ゾクッとさせる表現にホラーの醍醐味を感じました。

 

残念だった所

そんなに怖ーい!と思わせなかったので、めっちゃ怖いのが読みたい!!と思っている人には少し物足りないかなと思いました。

 

また、最後の終わり方がもっと不穏な感じでも良かったのかなと思います。

 

あいのん的面白かったお話ベスト3※ネタバレあり 

3位:夢の行き先

主人公は「刃物を持った変なババアに追いかけられる夢」を3日続けてみてしまいます。

 

しかし恐ろしい悪夢に苛まれていたのは、実は自分だけではありませんでした。

 

同じ夢を見る人がクラスで続出します。

 

しかし、悪夢の内容はそれだけではありませんでした。

 

「青い犬に追いかけられる夢」

 

を見る派も存在したのです。

 

しかもその夢はクラスの席順に、窓側と廊下側から移動していくことが分かりました。

 

窓側、廊下側から順番に数えていくと、ある一人の男子生徒のところでぶつかることに気づきます。

 

彼は一体どうなってしまうのか?

 

クラス全体を巻き込んで進んでいく怪異、というのが良かったです。

 

ホラー小説で恐ろしい目に遭う時というのは少人数である場合が多いので、クラスの子達と怖がったり、対策を考えたり、どうなるんだろうと不安に思う描写が学生の頃を思い出して何だか懐かしい気持ちになりました。

 

怖いのはもちろん怖いけど、遊園地が出てきたりババァが出てきたりと何だか楽しい作品でした。

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2位:じぶんち

合宿の帰り道、バスが渋滞に巻き込まれてヘトヘトになりながら家に帰ります。

 

合宿は楽しかったが、友人とはいえ赤の他人との生活はストレスだったのだ。本当に我が家が一番なのだ。

(じぶんち より)

という文章に、すごく同感しました。

そうなんです!友達と長い時間一緒に過ごすのって、楽しいけど めちゃめちゃ疲れる。

 

あの家に帰って来た時のホッと安心した感じ!

上手く表現されているなぁと思います。

 

しかし、ホッとしたのは束の間。疲れを癒すどころか、出迎えてくれるはずの家族がいません。

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何かがおかしいと感じ、徐々に焦り出す主人公。

 

家族はどこに行ってしまったのでしょうか。

 

思い違いであると、そう考えれば考えるほど、違和感は色濃くなっていきます。

 

安心出来る空間が一転、不安に侵されていく。後でふと思い出してちょっとゾッとするような、ホラーの醍醐味を思わせてくれる作品でした。

 

 

1位:死神

タイトルも不穏な雰囲気を醸し出している度ナンバーワンですね。

 

昔流行った「不幸の手紙やチェーンメール」から物語が始まります。これらはもう過去の産物であると。

 

懐かしい!私もチェーンメール送ってこられたことあります。

 

他の人に送らなければ不幸になるバージョンと、他の人に送れば幸せになるバージョン両方見たことがあります。

 

全部無視しましたけどね。

 

主人公の男性は、知り合いから突然1か月ペットを預かってくれと言われます。

 

ハムスターや、金魚、植物まで。

 

主人公は了承し動物たちを預かりますが、それがきっかけで様子がおかしくなっていきます。

 

記憶が飛び、自分が何をしていたか分からない空白期間。

 

さらに飼い主である知人は引き取りに来ず行方不明になってしまいます。

 

怪異の原因は何なのか?

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エスカレートしていく現象と、キーパーソンの登場。

 

お話のテンポが良く、続きが気になってどんどんページをめくりました。

 

なんだか妙にリアルでぞくっとする怖さが良かった。

 

え?事実なの?!と思わせるような臨場感と、最後の後味の悪さが特に良かったです。

 

さいごに

情景が浮かんでくるような表現力を楽しめたり、リアルと怪異のバランスがちょうど良い作品でした。

 

ちょっと怖がりな人にもオススメです!

 

『ずうのめ人形』のレビューもよろしくどうぞ♩

www.ainonotaku.work

 

それでは、ごきげんよう〜!

 


ひとんち 澤村伊智短編集